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1.「技術開発ベンチャーの叢出と成長のためのエコシステム」提言の取り纏め

1970年頃の第一次ベンチャーブーム以来、我が国の技術開発ベンチャーにとっての厳しい環境に基本的な変化はない。技術開発ベンチャーには、幾つもの死の谷が付いて回るが、何が理由で育っていけないのだろうか。57歳の時に独立し、ベンチャー企業の支援に身を置いて10年。この間に、多くの技術開発ベンチャーに会い、また多くの支援者にも会い、多くの支援機関の集まりにも参加し、繰り返し繰り返し、考えてきたところである。


幸い、問題意識を共有できる多くの実践支援家の知遇を得ることができ、また、一般社団法人日本開発工学会の幹部にもこの問題意識を語ることができ、同会にワークショップを設け、自らも起業したベンチャー支援者やVC、支援機関の責任者等の実践家との討論を通して、技術開発ベンチャーが叢出し成長する好循環のエコシステム確立のための諸要素を洗い出し、その実現のため提言を取り纏め、更にこれを世に問い、共通認識に立った支援活動を今後我が国に広げ深めていくことに役立てる機会を得た。(2017年7月)


1年近くの準備会合を経て「技術ベンチャー叢成ワークショップ」(叢成は叢出と成長)を日本開発工学会に立ち上げることに理解と支援を頂いた同会幹部・事務局の皆さんにお礼を申し上げるとともに、忙しいなか時間を割いて意見発表をして頂いた9人の講師の皆さんに心から感謝を申し上げる。ワークショップの意見交換において多くのアイデアや編著者が気づけなかった問題点を講師から頂いた。講師の方々は、提言本体の「はじめに」に参考として掲載している。


取り纏めた提言は、日本開発工学会の機関誌である「開発工学」に掲載の機会を得、また、同会のHPにも掲載をして貰っている。


また、本提言を中心に、ワークショップの前後に考えてきたこと、更には講師有志のコラムを併せて、「技術開発ベンチャーの叢出と成長のためのエコシステム―支援者の実務体験から考えた課題とその発展のための提言」として、アイエス・エヌ株式会社から出版することとした(2018年5月)。議論を一層深めようとされる人のために参考になれば幸いである。


「技術開発ベンチャーの叢出と成長のためのエコシステム」提言の取り纏め


2.「技術系中堅企業の輩出と発展のためのエコシステム」提言取り纏め

技術開発ベンチャーが厳しい環境の中を生き抜き、幸いにして自立を始めて技術開発型中小企業となっても課題は残る。我が国の21世紀を考え、地域経済社会の今後を考えると、これら技術開発型中小企業が、中堅中小企業、中堅企業へと成長し、我が国の21世紀と地域経済社会の今後を担える企業に事業を深化させて行く必要がある。


企業の発展には100億円、1000億円の売上の壁があると言われている。自立を始めた技術開発型中小企業が、どのようにして壁を乗り越えて中堅企業へと成長していけるのかを、企業自身の課題、技術開発維持のための課題、政策・制度の課題等について、技術系ベンチャーから中堅製造業までの企業経営者の経験に即して、これらを明らかにして体系的に整理していかなけばならない。


更に、そのためには、米国シリコンヴァレーモデル、ドイツMittelstandモデル、日本非系列・脱下請け自立モデルの3つを比較しつつ、技術系中堅中小企業、技術系中堅企業を通して共通の課題、規模に応じた独自の課題を抽出して、乗り越えるべき壁とは何か、あるいは逆に維持すべきものは何かを考えておく必要もある。


このために、一般社団法人日本開発工学会の協力を得て、「技術系中堅企業への壁」研究会を立ち上げ、企業経営の経験を有する識者、ドイツ等の政策に詳しい識者を中心に議論を重ねた。7回の研究会において、忙しい中時間を割いて講演を頂いた7名の講師にお礼を申し上げるともに、研究会に参加を頂いた会員・非会員の皆さん、準備を頂いた事務局の皆さんにお礼を申し上げる。


取り纏めた提言は、日本開発工学会の機関誌である「開発工学」に掲載の機会を得、また、同会のHPにも掲載をして貰っている。


また、本提言を中心に、研究会の前後に考えてきたこと、特に、ベンチマークとすべきドイツの政策体系等を併せて、「技術系中堅企業の輩出と発展のためのエコシステム」として、アイエス・エヌ株式会社から出版することとした。議論を一層深めようとされる人のために参考になれば幸いである。


「技術系中堅企業の輩出と発展のためのエコシステム」の取り纏め