- 2012.11.16
明治大学第1回社会連携教育研究会に参加。
― 情報技術の進歩によってIP電話等の活用が多方面で進み、大学でもMITやハーバードがインターアクティブなオンライン講座を始めており、世界の有力大学が地域外の学生等に対してもオープンなオンライン講座を整備しています。今回の研究会では、まずこの世界的な動きを同大福原特任教授が紹介をしていました。大学自体を開いたものとし競争による質の向上を図るとともに、インターアクティブな遣り取りのデータの蓄積を分析することによって教育の手法そのものの革新も図ろうとする大きな取組みの話でした。2つ目の講演は、オンラインと留学英語のQQイングリッシュを運営する株式会社キュウ急便(バイク速配)の藤岡社長によるフィリピンの英語学校事情と同社のフィリピン拠点の紹介でした。カランメソッドの採用と本格的な教師育成を行っている同社の特色と明大等の学生の体験結果の紹介がありましたが、韓国人対象が圧倒的に多いフィリピン英語学校との彼我の差に改めて驚きました。いずれの講演も、日本語で大方の用が済んでしまう我が国の人材面でのガラパゴス化が時間の問題であることを示していました。
- 2012.11.7
JEITAソフトウェア事業委員会組込み系ソフトウェアワークショップ2012参加
― ここ数年参加をしていますが電子情報技術産業協会のオープンセミナーで、業界の競争強化等深刻な課題を抱えながらもオープン性を維持している貴重な試みです。参加者の中に昨年意見交換した方もあり、開発現場の苦労話を改めて聞きました。ワークショップとしては、今年も昨年に続きアーキテクトの役割について参加者の意見の取纏めがされましたが、本年は、ソフトウェア技術者だけが存在する開発現場におけるアーキテクトの役割に焦点が当てられ、昨年議論された組織内のサイロを超えた開発の主導性、機械系技術者や電機系技術者含めたプロジェクトティームの主導的リーダーという視点が抜け落ちていたのが残念です。JEITAの主要な会員の中に現在深刻な経営課題を抱えている企業が幾つもあるわけですが、製品作りの機動性とグローバル性を考えればソフトウェア技術者の中だけのアーキテクトの役割だけを議論していても課題の解決には繋がらないだろうと感じられます。
- 2012.10.26
東工大精密工学研究所公開セミナーとツアー参加。
― 東工大横浜ベンチャープラザがアレンジしたセミナーとツアーに参加しました。中村教授から「超音波浮揚技術による微小物体・液滴の非接触搬送」の説明があり、薬や極少の液体等を非接触でコンタミなく搬送し浮揚中に分析を行い混合も行おうとするものでまだ実験段階でしたが、学生も熱心に実験の説明をしていました。佐藤准教授からは「接着接合の強度評価と工業製品の評価」の説明があり、航空機から自動車、携帯電話に至るまで接着剤による接合プロセスによって製作されていく中で評価手法を確立し環境目的に応じた接着剤も開発しようとするもので、実用化されている分野における手法の明確化と未実用分野の拡大を図る実践的な研究でした。自動車では欧州メーカーが大きく先行しているとのことで、モジュール化やIT対応等VWやBMWなどの先進性を改めて感じさせられました。接着剤の開発についてもこの分野経験者との交流をもとにしており、分野横断的な産学連携に意欲的に取組んでいました。三番目は小池教授による「ブレインマシンインタフェースと筋電信号を用いたヒューマンインタフェース」で、筋肉からの信号を使う人体サポートロボットを開発しようとするもので、筑波大のアプローチとは異なり特に上肢のサポートに焦点を当てているようでした。いずれも実践的な目標を有した研究であり興味深い催しでした。
- 2012.10.9
早稲田大学環境総合研究センター10周年記念シンポに参加。
― 本庄早稲田にある㈶本庄国際リサーチパーク研究推進機構とのお付合いから同センターとも関係を持っております。産学官民連携における大学の役割と実績、そして今後の課題というテーマで記念シンポが早稲田大学で開催されました。幾つか興味深い点はありますが、一つ目は、紙屋教授からの電気バスに関する10年の開発と実用化への取組みを背景にある開発企業と自治体との協力を中心にした説明です。二つ目に草鹿教授からのスウェーデンにおける複数企業参加共同開発における共通課題の設定と非競争領域の設定という手法が国の独占禁止政策や国家戦略に裏打ちされて効率よく機能していることの紹介です。三つ目は、森川教授による東南アジアにおける持続可能な森林再生の手法の紹介です。いずれも、従来の発想の限界と、産官学民ともが抱える我が国固有のサイロ組織の限界を乗り越えることによって実現してきた事例だと思えますが、大学の役割というのがこういう組織や発想の限界を溶融していくカタリストの役割を果たさなければならないところにあることを示したシンポであったと思いました。
- 2012.10.5
第2回おおた研究・開発フェア〜新製品・新技術展〜に参加。
― 大田区に特有の微細精緻加工を行う企業のほか、MEMS、電子計測等の企業の技術、各地域の大学の技術を集めるとともに、研究開発・製品受発注のマッチングも併せて行うイベントで、参加者も極めて多く、実務的な成果を狙う大田産業プラザの意欲的な取組みの姿勢を感じました。出展企業の中では、光学レンズの球面精度を検査する技術と装置を開発する三共光学?に非常に興味を覚えました。我が国の半導体製造装置の光学分野の主要なメーカーであるニコン・キャノンを後ろで支えているのが同社ということで、この分野で我が国以上に競争力を有する欧州メーカーとは取引はないとはいえ、グローバルに通用する技術力を有する有力中堅企業であると感じました。
- 2012.9.26
GPIC研究会に参加。
― Green Power Innovative Communication研究会の初回の集まりで、今後地球規模で進む電力の受給のひっ迫を解消し、エネルギー使用効率を高めるパワー半導体の開発の展望とビジネス化の課題を議論しようという研究会です。小さな研究会ですが目的とするところは大きく、初回、特に、HISアイサプライの南川氏から世界の人口動向、エネルギー使用動向、電力利用におけるモーターの利用率とインバータ・モーターの普及率等の極めて大局的な分析、パワー半導体の貢献の大きさ、現下の我が国の技術の優位性について紹介が有りました。この優位性をいかに継続し拡大していくかが、ビジネス化の課題です。また、同時期に産学官連携を目指す大学発技術を一堂に集めたイノベーションジャパン2012があり、九州工業大学大村教授等のパワー半導体の成果発表に触れました。大村教授は、Siの省エネ用パワー半導体の新コンセプトと形成プロセスを発表していました。我が国のエレクトロニクス産業の今後の発展の試金石となる研究会となることに期待します。
- 2012.9.21
電気自動車開発技術展EVEX2012に参加。
― 電気自動車だけでなくエネルギーのベストミックスを実現する要素技術、材料、IT等を集めて展示会で、アドヴァイザーをしています本庄早稲田の㈶本庄国際リサーチパークも、次世代モビリティ・エリアマネジメント研究会及びスマート・プロジェクトの会員の活動を紹介する展示をしていました。財団のブースも関心は高かったようですが、会場の中央で小プレゼン会も行っていたFukuoka/Yokohama/Nagasakiの企業・自治体・大学の共同ブースが活況を呈していました。地方中小都市である本庄としては意欲的な試みをしていますが、プロジェクトの熟度と知名度と原資いう点で、大都市連合のようには進められないもどかしさを感じました。研究会のメンバーである?フィアロと提携しているクレアフォームジャパン?のカナダ製の可搬型3次元形状測定システムが面白く、また同じく会員である?秋山製作所の秋山社長と久しぶりに会ってアジアにおけるビジネス展開の話を伺いました。
- 2012.9.20
東工大横浜ベンチャープラザセミナーに参加。
― インキュベータの入居企業であるナノファイバーの大量生成技術を確立した?ゼタのプレゼンでした。文字通りの数ナノのオーダーの高分子有機ファイバーの短時間での大量生成技術を確立したことで、圧力損失の低い高性能エアフィルタ、防護ウエア、水処理材料、電池の電極やセパレータなど従来の常識を変える商品の実用化に向けた開発を進めている状況について、発明者であり長くこの分野の研究を進めてきた谷岡明彦東工大特任教授と、NEDOにおけるナノファイバー開発プロジェクトにも参加した高橋同社社長から、ナノファイバーを用いた実演も含めてプレゼンが有りました。数年参加している同セミナーでは初めて、ユーザに当たる大手繊維/化学メーカが多く参加していました。非常に広範なアプリケーションが予想され、更に、過去の商品概念を覆す可能性もある基本技術の普及に対し、しかもNEDOが関わった技術に対し、どういうポジションで臨むべきか、同時に多くのことを考えさせられましたが、まずは普及を期待したいと思います。
- 2012.8.29
インドネシア・ビジネスセミナーに参加。
― 神奈川産業振興センターが開催したインドネシアの最新のビジネス状況と投資誘致政策、工業団地に関するセミナーでした。インドネシア投資調整庁日本事務所代表から投資制度について説明が有り、その後、兼松・住友・双日から工業団地と支援業務の説明が有りました。また?フォーバルからジャカルタ近郊のレンタル工場の概要と支援サービスの説明が有りました。フォーバルに関してはベトナムに関する説明会にも参加しており、東南アジア地域でのネットワークの充実を感じました。近時、インドネシアは政治的安定も起因して好調な経済成長を示しており、同国への関心は高く、セミナー参加者は200名近くで、予想以上でした。
- 2012.8.24
JST/京都大学 新技術説明会に参加。
― 久しぶりの新技術説明会参加でした。今回興味を持って参加したのは、同大エネルギー理工学研究所の檜木氏による耐熱繊維強化複合材料の開発と、同大生存圏研究所の樫村氏によるマイクロ波過熱を用いた大気圧下迅速チタン製錬法でした。全前者は、SiC繊維と炭素粒子を重ねて焼結した他多孔質SiC複合材料の製造法の開発であり実験室段階であるものの可能性を示唆するものでした。後者は、酸化チタンを溶解還元する際に生じる添加金属酸化物の被膜をマイクロ波で破壊することによって製錬効率を高めようとする技術で、原理的には単純で非常に面白い技術だと思いますが、量産に向けての実証設備の構築が困難だと予想されます。もう一つ、同大原子炉実験所の谷垣氏によるGPS連動型放射線自動計測システムが非常に面白く、分散型PCネットワーク、クラウドサーバー、グーグルマップ等モジュールを組み合わせた小型/軽量/多数端末/同時移動測定を実現したシステムで、従来の大型/集中/自前開発の典型的な日本型ITシステムから距離を置くものでした。決して従来の日本企業や幹部教授等からは生まれない若手らしい開発だと感じました。
- 2012.8.1
緊急シンポジウム「今後のエネルギー政策を問う どうなる電力改革」に参加。
― フジサンケイビジネスアイ主催のシンポで、開催趣旨は「電力システム改革に関しては、マスコミも含めて情緒的で短絡的な議論が目立ち、冷静な議論を聞く機会がほとんどないのが実情で、一般の人々にも電力システム改革のメリット・デメリットを客観的に理解し、冷静に判断してもらうことが重要」というものでした。客観的な状況としては、原子力のウェイトが大幅に落ちること、再生エネルギーは量的増加に限界が有りコストも増加すること、東電等への不信感も与件とせざるを得ないこと、であるにもかかわらず、残念ながら大方のパネラー等は電気は貯蓄できない、新エネはコストが上がるから増やすべきでない、世界的に電力供給システムは垂直統合に戻っている、等々問題の指摘のみを先行させるだけで、今後、発電のプレーヤーを増やし、今までブラックボックスであった配送電システムをどの発電にも公平な立場にし、しかも東西融通をもっと増やすというような課題解決については消極的な言いっぱなしが多かったのが残念でした。
- 2012.7.27
第26回MCPCイノベーション・チャレンジ・セミナーに参加。
― 久しぶりのMCPCのベンチャー等のプレゼン会で、ユーピーアール(株)のコンテナ等にGPSと振動・温度情報を発信する端末を附置することによって物流と商品の現況を中央で監視把握できる「ワールドキーパー」の紹介、米国Snap Mylife社のスマートフォンとクラウドを連携させセキュリティやプライバシーを複数の機器を横断的に管理し情報を同期させるsnap secureの紹介を聞きました。特に前者のシステムは今まで実用化されていないことが不思議だと思われるソフトで、地球上GPSのサービス範囲で自社の貨物やコンテナを一元的に把握できる有効なサービスだと思いますが、ハードの端末機の管理を如何に確実に行えるかに成功のカギがあると思います。
- 2012.7.25
第2回課題解決ソリューションセミナーに参加。
― キャノンITソリューション?と東洋ビジネスエンジニアリング?の両社から、グローバル化に対応する製造業が需要予測等を適正に行い販売・生産・原価管理を適正に行うためのグローバルPSIシステムとMCFrameの説明が有りました。前者は、需要予測の作業において当事者の予測能力で対応可能なものと不可能なものを区分し、可能なものは精度を上げるシステム構築を行い不可能なものはBCM的な危機管理マニュアルを整備することを基本に社内連携システムを整備するという内容でした。後者は、主に中堅製造業を対象に世界の拠点を繋いでデータの整合性を図ったうえで一体的に管理を行えるシステム構築作りを現地に入り込んで進めて行くサービスの説明でした。特に後者は適用事例も多く、理念的なERP整備ではない実務的アプローチに興味を覚えました。
- 2012.7.20
日本開発工学会 第8回ビジネス・イノベーション研究会に参加。
― 今年から会員となった同会の研究会に参加しました。microMacroLinkProject代表原岡さんからのNN5強制発想法のススメというプレゼンを聞きました。何故を5回繰り返し、大きな事象・原因から始めて5層の下部の理由構造を作り上げるもので、結構大変な時間と忍耐力を要する手法だと感じましたが、徹底的に考えることが無くなってきている組織の現場で構成員の意識革命をもたらすものだと思います。
- 2012.7.20
第二回MINERVA日本新生リレーカンファレンスに参加。
― 従来ツナミが開催してきたベンチャー等のプレゼン会を模様替えしたものでした。
今回のプレゼンは、?リボミックによるRNAアプタマー開発、SBIバイオテック?による樹状細胞関連医薬品の開発のバイオ創薬の話で、いずれも東大名誉教授が創業しトップを務める我が国のバイオベンチャーとしては老舗でありエース企業のプレゼンでした。このようなエース級と言えども資金問題、販路問題があり、我が国の大学発ベンチャー、医薬関係ベンチャーの支援の方法を改めて考える機会となりました。良いアイデアはないので、両社の奮闘を祈るのみです。
- 2012.7.19
Siemens PLM Connection Japan 2012に参加。
― 前日に続き、製造とシステム化の観点で、航空宇宙産業における同社のソフトの紹介を聞きました。膨大な部品と多数の関係者が参加する複雑な工程ですから当然のこととしてシステム的管理が必要になってくるので、それ自体は予想していたものでしたが、興味を覚え今後の我が国の課題だと感じたのは、炭素繊維による複合材料のデザイン・成形・成型のプロセスを同社のFiberSimというソフトが世界のマジョリティを押さえているとの点でした。確かに炭素繊維の分野では世界競争力を有するものの付加価値を高める製品化の過程では我が国発のシステムが貢献しておらず、部材・部品産業の競争を維持していくうえで、このようなプラットフォーム的システムなしで良しとするのか、単体の部材や部品の供給のみで良いのか、今後の我が国の製造業の課題として業界に大いに議論してほしいと思います。
- 2012.7.18
Autodesk University Japan 2012に参加。
― Autodesk社主催の製品紹介と関連のシンポで、今回は土木や建築分野のCAD等に重点を置いた場でした。日本人の大好きな摺り合わせをフロントローディングで関係者が集まって作業しコンカレントで進捗管理を行い、期間の短縮とコスト節約を行う実例をフランスの建設会社であるBouygues社から聞きました。Building Information Modeling(BIM)と呼ぶ手法で、我が国の建築会社と装置メーカー、NPO関係者によるパネル討論も聞きましたが、我が国では明確なBIMという意識はまだ形成されていないようでした。いつも書くことですが、やはり我が国では関係者が集まって行う作業をシステム化してプラットフォームとして第三者を取り込んでいくのが苦手なようです。
- 2012.7.13
第23回マイクロマシン/MEMS展に参加。
― 経産省等の支援を受けて進めてきたBEANS(Bio Electromechanical Autonomous Nano Systems)プロジェクトの最終年度にあたっての研究責任者からのプレゼンを聞きました。設計可能な有機材料を分子レベルで積層していく発光や発電デバイスのプロセス開発、中性粒子ビームエッチング技術等による3次元ナノ構造形成プロセス開発、繊維にナノレベルでの機能性付与加工を行い大面積に織り上げていくプロセス開発等の成果を東大、九大、産総研等の責任者が発表していました。当初のMEMSプロジェクトから10数年経過し実用化されている技術も出てきていて、産学官連携の成果が見られることは喜ばしく、キャッチアップの激しい中国・韓国等であっても決してこのような手間暇のかかる開発を行わないだろうなと想像しながら、同時に本プロジェクトに参加できる民間企業は大手企業の研究者になってしまうことに思いを寄せ、製造業の裾野を支えるべき中小・中堅企業の技術能力の継承発展をどうしていくべきかを考えた次第でした。
- 2012.7.6
第38回Still事例研究フォーラムに参加。
― ?アイエルアイ総合研究所が日本ユニシス?と共催したStill製品と利用事例の
紹介の場でした。数年前にビッグサイトのある展示会で同社のエクセルをベースとしたStillを見て以来、エクセルをどう活用するか、日本での利用としてどういう形があるのか、と意識してきましたので、フォーラムに参加してみました。中堅・中小企業が、日々の日報や見積もり書作成等の業務において、エクセルをベースとして業務運営を遣りやすく、また、ITのハードルを低くして一定程度のPC経験があれば取り組めるというように多々工夫されており、面白い製品だと感じるとともに良い経験をしたと思います。構成や運用、メンテなど極めて日本的で日本人同士であれば将に垣根なく使えるものだと思いますが、今後のグローバル化を迫られる中堅・中小企業にとってのツールとしてどう考えていくべきか課題はあると思います。
- 2012.7.5
第1回クリエーターEXPO東京に参加。
― イラストレーター、画家、漫画家、絵本作家、アニメ、グラフィックデザイナー等のソフトな創作を行う人達が出展し、出版会社、事業会社等のユーザに当たる人間が参加する展示会でした。今まで参加してきたビッグサイト等での展示会とは大きく雰囲気の異なる展示会で、カルチャーショックも感じました。クール・ジャパンとして政府が旗を振ることに繋がっていくのでしょうが、線の細さが気になるところであり、果たして東南アジアを含めて海外で通用し、過去のハード製品に代わる有力な産業となるのかどうか、まだ判断するには難しいという気がします。また、ハード製品と融合したコンテンツ供給事業が必要となりますがその展望は見えていないような気がしました。
- 2012.6.15
第5回大田区加工技術展示商談会に参加。
― 大田の独自の加工技術を持つ中小企業集団の展示商談会ですが、主に講演を聞きました。最初に東芝の河津氏からSCiBリチウムイオン電池の持つ可能性についてプレゼンがありました。チタン酸リチウムを陰極に使い、外力などで内部短絡が生じても熱暴走を起こしにくく、充放電6000回以上の長寿命、6分間での急速充電、キャパシタ並みの入出力密度、-30℃の低温での動作等、優れた諸特性があるもので既に三菱のiMiEV等への搭載が行われているものです。新エネの活用にも蓄電池として大いに貢献しそうです。地元企業の講演として、?マテリアルの三村氏から、営業生産管理課として受託生産と加工提案、営業と納入を一体で行う提案型営業の話がありました。?会社岸本工業の須藤氏からプラスチック材料の高精密加工技術を、?飯山特殊硝子の田辺氏から精密硝子加工技術を持つスペシャリスト集団について、日進工業?の竹元氏からは、メタリック感を出す樹脂成型の配向技術についてプレゼンがありました。若手人材に聴衆の前でプレゼンさせる意欲的な取組みだと思いましたが、特に?マテリアルの三村氏から経営幹部の特色ある経営方針が伺える内容のプレゼンであったことが収穫でした。
- 2012.6.12
埼玉県環境ビジネスセミナーに参加。
― 本庄スマートエネルギータウンプロジェクトについて、プロジェクトの推進役でもあり調整役でもある早稲田大学環境総合研究センターの小野田氏の講演を聞きました。本庄早稲田の㈶本庄国際リサーチパーク研究推進機構との関係で本プロジェクトには立上げから関わっていますので、外に向かって情報発信ができるようになったことに喜びを感じますが、課題の大きさを改めて考えさせる機会でした。本プロジェクトは結局我が国の直面する環境問題やエネルギー問題、少子高齢化などに対応して30年後にどういう生活空間を作るかということですので、主体者は、まだ住んでいない住民も含めた地元市民であり、地元の企業になります。特定の者だけのものでない共通の生活空間をどう創り出していくか、小野田氏のいうところのパブリック(公共)を担う主体作りが、即、エネルギータウン作りの主体になります。マーケットメカニズムだけでは済まない生活空間作りには、自治体はもちろんですが、プロジェクト参加企業にもそれだけの覚悟が求められるわけで、小野田氏の問題提起は大きく、中小市町村では例のない取組みへの財団を通じての貢献に新たな思いをしました。
- 2012.6.8
画像センシング展2012に参加。
― 我が国の製造業の品質管理や工程管理などを支える画像処理による検査/識別/センシング技術等の専門展で、講演を2つ聞きました。オプティカルソリューションズ社/ベストメディア社による対象物に照射するLED光源の照明ムラを解消する有機樹脂表面上にミクロンのレンズを有する拡散板と照明シュミレーションCADの講演、日立ハイテクノロジーズ社による電車の架線保守管理のための自動検査/計測から、半導体製造過程におけるウェハーの検査/計測まで広範な計測/品質管理を画像を使って処理するシステムの講演でした。前者は製造業の裾野を支える基盤技術を中小/中堅企業が担っている典型例であり、後者は半導体産業の主力が台湾/韓国に移転してしまったとしても、引き続き製造装置と検査装置、その根幹にある計測ソフトを我が国主力企業が担っていることを示す例でした。ただ、後者は、半導体製造過程の微細化が進み光の波長が数ナノレベルになってくると検査/計測に使う光の波長が追い付かなくなってきており、ムーアの法則に限界が来るという声を裏つける話でもありました。
- 2012.6.6
第8回産官学連携DAY in電気通信大学に参加。
― 3回目の参加になりますが、引き続き実践的な取組みを継続している同大学の様子を理解できる一日でした。特に先端ワイヤレスコミュニケーション研究センターの活動報告からは我が国のこの分野の研究/開発が遅れているわけでなく意欲的な内容となっていることが窺えるものであり、ITあるいはICT分野での競争力問題は、プレーヤーである企業組織の意思決定やスピード対応、標準対応の戦略不足などに起因することが良く分かる内容でした。ただ、同大学は、技術的には実践的な知見/能力を有する人材を育成していると思いますが、語学や文化面でグローバルに通用する人材の育成が行われているのか、多くの留学生の姿を見て感じました。
- 2012.6.5
Korea ICT Roadshow Japan 2012に参加。
― 韓国のKOTRAが主催する韓国IT最新事情とベンチャー企業のプレゼン及び展示の場でした。ベンチャー企業の紹介ということですが、内容は本格的で、講演をAhnlab社の講演は、スマートフォーンのオープン・プラットフォームとなっているアンドロイドについてのセキュリティ問題と韓国政府と一体で取り組んでいる対策についての内容でした。また、Facebookを使うグループウェア、セマンテック手法によるビッグデータ分析と情報共有システム、ユニファイド・コミュニケーション技術による映像/音声/文字情報の共有システムなど、興味深い技術を多く持つ企業の展示が有りました。また韓国では自治体による優先調達枠によってベンチャー製品が社会的に認知されるスピードも速く、中堅企業によるベンチャー企業の買収によってイクジットも活発であるなどの話も聞けました。予想通りの韓国の元気さを体験できた場でした。
- 2012.6.1
ワイヤレス・ジャパン2012に参加。
― 同展示会のセミナーでエリクソン・リサーチ・ジャパン・センターの小田氏の講演を聞きました。Networked Societyとのタイトルで、いずれ数年の間に500億のデバイスが相互に繋がり合う世界が実現するという見通しのもとに同社のビジネスモデルをラフに説明していました。このような状況は我が国だけで完結せず、また携帯やPCを超えて産業機械から輸送機械、家庭電気機器等が接続されていく世界となるというわけですが、狭い日本市場を前提としたビジネス・モデルは崩れ、標準も圧倒的にユーザの多い地域の意向で決まっていくこととなり、我が国電子機器メーカーや通信業者の現状を延長した事業は早晩見直しを迫られることとなると想像されます。更に問題は無線の容量がこれら接続機器の急増に対応しきれるか、これら無数の機器の接続のためのインフラを誰が提供するのか、制度論にも及んでいくと思われます。その先取りは電力会社の体制の見直しとスマート・メー、スマート・グリッドにあることは事実で、うまくやれば我が国は世界をリードできる標準を作れるかもしれませんが、ガラパゴス的対応で終わり携帯電話や液晶等の二の舞を演じるかもしれません。
- 2012.5.30
Maple Techno Fourum2012に参加。
― 自動車技術協会のメルマガで紹介されたサイバネットシステム?が主催する数式ベース・モデリングの応用によって設計や開発を加速しようとの観点からモデリング・解析システムであるMapleSimなどのユーザ体験等の発表を行う集まりでした。大手自動車メーカーのエンジン設計等の技術者が多数参加しており、業界の中で横断的に集まって事例などを参考にし合う面白い集まりでした。マツダの小森氏からは、最新のSkyactive Technologyの開発をMapleSim等を利用して進めた発表があり、同時に今後グローバル競争に打ち勝つ中でこのようなソフトをどう使いこなして開発を進めるか、自動車が単独の存在ではなく社会システムに繋がる機器となっていく中でどのようにシミュレーションの範囲を拡大していくべきか、興味ある問題提起がされていました。我が国の自動車産業がリーディング・インダストリーとなって既に長いですが、CATIAを初め業界で使われるソフトは欧米発が殆どであり、早く我が国発のソフトが自動車業界で使われる日が来ないと真の競争力に繋がらないことを改めて感じました。
- 2012.5.23
iCADフォーラム21stに参加。
― 富士通とiCAD社共催のCAD利用に関する事例紹介と製品紹介の講演会でした。先般のダッソーシステム社のプレゼンと異なり、まことに日本的な製造現場向けのCAD利用の事例紹介でした。主催者から3次元CADの導入が即我が国の製造業にイノヴェーションを齎すような挨拶が有りましたが、IHIメタルテクニック社の説明に有ったように、CADを導入して設計環境を合理化することと、その設計環境で設計者がイノヴェイティブな発想で製品を構築する能力を持てるかは全く別物であり、同社の担当部門はそこを良く認識したうえで国際競争に打ち勝つために3次元CADを活かそうとしていることが良く分かりました。ただ、部品生産から組み立てまでを外部、外国で行う流れの中でコアとなるノウハウを維持していけるかは同社も大きな課題だと認識していますが、3次元CADというツールがそれを助けるかどうか、これも帰するところイノヴェーション指向のマインドの問題だと思いました。iCAD社の製品は産業機械/工場ラインなどの設計に特化した我が国初のソフトで、欧米CAD製品が席巻しているなかで気を吐いてほしいと思いますが、設計現場という局地戦向きのソフトで、全世界でSCMや工程管理などを含めたトータルな展開を行えるプラットフォーム的機能には遠いところが残念に感じました。
- 2012.5.21
3D EXPERIENCE Forum Japan 2012に参加。
― ダッソーシステム社主催の3次元ディジタルモデルの活用により、企業のイノヴェーションが環境へ及ぼす影響をシミュレーションするとともに、顧客とインターアクティブに発売前の評価を行おうとするソフトウェアの総合的な説明の場でした。従来のCATIAや解析ソフトの延長にある大規模なシミュレーションソフトの登場は理解できましたが、Facebookやメタバースのような仮想空間の登場は当初理解できませんでした。ビッグデータという言葉が喧伝されてますが、ともかく大量のデータを解析し、シミュレートし、更にその結果を3次元的に表示して、ソーシャルネットワークの中でインターアクティブに意見/反応を交換共有させようとする狙いではないかと想像します。CEOが自ら今後の事業の方向性を展望して見せたところに同社の本気度を感じましたがその方向に動くのかどうか分かりません。かってのオープン・デザインとは少し違って製品コンセプトや3次元モデル製品を顧客等と共有し社会的受容についてシミュレーションをしようとするのも知れません。多分2年ぐらい経てば同社の狙いが明確になるのではないかと想像します。そういう意味でエキサイティングな内容でした。
- 2012.5.17
IIP知財塾成果報告会に参加。
― 知的財産研究所の若手人材の育成を目指す「IIP知財塾」の成果報告会です。今回は、?実用新案制度の活用に関する一考察、?差止請求権の在り方について、?ソフトウェア特許の権利のあり方について、?特許権の安定性についての4つのテーマについて報告がありました。いずれも大きなテーマで知的財産権が安定的に活用されるために重要な課題と思いますが、根底に我が国の大量出願とその時間的制約下での審査処理という大きな問題が横たわっており、これらのテーマはそこから派生したものと考えます。大量出願自体は現下の中国のように産業の活力の反映で痛し痒しですが、それらに対し時間的制約を取り払って十全の審査処理が許されるのであれば成立した特許権も質の高い権利となるので、実用新案権も本来の制度設計が生きてくるでしょうし、パテントトロール的行為も権利者としての当然の権利活動とされるでしょうし、プログラム特許がイノベーションの妨げになるということもなく、瑕疵ある特許権も生まれないということとなります。ただ審査の質は我が国だけで追及しても仕方のないところで、プロパテント政策ではどうしても審査が国際競争で甘くなり、これが熱のエントロピーのように不可逆かどうかの精査が必要となると思います。他方、今回のテーマの幾つかは著作権の制度運用と合わせて議論すべき項目も含まれており、今後土俵の設定をどうするのかIIPに期待しておきたいと考えます。
- 2012.5.16
ものづくりフォーラム2012Springに参加。
― ものづくりイノベーションを加速するための戦略的3次元データ活用という副題のセミナーで、山形カシオの鈴木氏から「山形カシオにおける3次元データ活用の取組み」、ラティス・テクノロジーの鳥谷氏から「CAD投資を全社の業務改善に生かす―XVLパイプラインで実現するモノづくりIT」、プロトラブズのパン氏から「3次元CADデータ活用ものづくりシステムと事例」、日産の山本氏から「日産自動車における3次元データ活用の取組み」の4つのプレゼンが有りました。3次元のデータを使って設計を行うことは当然となり、CADデータを部品表に繋げ、そこから調達を行い、更に世界中の工場の生産工程管理に利用する、一貫した地球規模の情報システムの実現を行う企業のみが国際競争に生き延びられることを示す内容でした。しかしながら、このようなCAD/PLMを世界の主要メーカーが当たり前のように導入しており、製品自体の構想力、これらソフト能力の飛躍的自前開発力など、日本企業が競争の差別化を図れる力を持てるかどうかが重要となり、また大規模システムにおける情報管理を確保しノウハウ等の移転をどれぐらい遅らせうるのか、別の大きな課題が我が国製造業に迫っていることを考えさせられるセミナーでした。
- 2012.5.10
Japan IT Week2012クラウド・コンピューティングEXPOに参加。
― クラウド、データベース、データストレージからセキュリティ、ワイヤレス、組込みソフトまで広範な分野をカバーする展示会でしたがキーワードはビッグデータと言う印象を持ちました。旧知の?ディジタルコミュニケーションがPDFを解析しXMLに変換する"PDF2XML"を出展しており福重社長に近況等を聞きました。幸いにも科学技術振興機構(JICST)の論文データベースの構築に採用されたとのことであり、今回の展示会のキーワードであるビッグデータと管理/検索と言う切り口から見ても、同社が一歩先に進んでいることを確認できました。引き続きの奮闘を祈って別れました。また、音声検索エンジン・サービスの?さくらコンピュータのブースにも立ち寄りました。言語分析やアルゴリズムをベースとする音声検索技術が多い中で、対象とするデータの範囲を確定しデータベースを構築したうえで検索を可能にするというもので、米国発の技術ですが手堅い発想に興味を感じました。全体としては、人出も多いようでしたが、いわゆる大手以外のブースは寂しい感じもし、ビッグデータというキーワードも中身は非構造データを含めどうDBを作り検索していくかというもので、画期的な新しい潮流は見当たらない印象でした。
- 2012.5.9
MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 今回は2件のプレゼンがありました。リアルリード社の北村代表からは、2000年から書籍、カタログ等電子データを本のページをめくる感覚で閲覧できる米国発のツールの説明がありました。データを一括ダウンロードせず、PDF文書も該当部分のみの検索が可能で、必要部分のみの変更が可能なため提供側も容易で安全に管理ができるという特徴を有するとのことでした。?グルーヴノーツの佐々木久美子会長からは、ゲーム開発に豊富な経験を持つ一方でクラウド技術にも詳しいスタッフを有し、本格的な大規模ゲーム開発をメインに置きつつも、スマートフォン向けアプリやソーシャルサイト向けアプリにも開発を広げ、さらに他のゲームソフトメーカ向けに開発プラットフォームを提供していくビジネスプランの説明がありました。
- 2012.4.11
第22回ファインテック・ジャパン基調講演会に参加。
― フラット・パネル・ディスプレー(FDP)等に関する展示会の基調講演会で、サムソンの有機ELの開発状況、シャープの最新の液晶に関する取組みのプレゼンを聞きました。サムソンからはサムソン・モバイル・ディスプレー社のキム氏からフレキシブル透明ディスプレーに焦点を当てた説明が有りました。自発光の有機材料を使うために構造が簡単となりプラスティックを使ってパネルが作成できることから、曲画面や巻き取り可能なディスプレーを次世代FDPとして開発しており数年内に製品化する見通しを述べてました。英語ではなく日本語による技術的な細かい説明も含めた講演で、同社のまさに自信に裏付けされたグローバル化の実態を感じ取れました。過去に若干有機ELに関係したため日本企業から同内容の話を聞きたかったとの思いを持ちつつ、他方、開発手法や目標の置き方などは我が国の電子機器企業の進め方と同じであるところから、クリステンセンの言う持続的技術開発路線を走っている現在のサムソンの次に何が来るのかも興味を覚えたところです。シャープの水島氏からは精緻で省エネルギー性の高い大画面の液晶に取り組む路線の説明が有りました。従来の路線と大きく変わらないと思いますが、この方向性と鴻海グループの方向性がどのように一致していくのか関心の高いところですが、これからの課題です。
- 2012.4.11
MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 今年最初の参加でしたが、今回は、株式会社マンション管理見直し本舗 、デンドーモータース株式会社、シリコンライブラリ株式会社の3社のプレゼンでした。特に、デンドーモータース株式会社の橋本社長からは、中国製の電動オートバイを神奈川県を中心に店舗の拡充を進めている中で、製品の高度化と合理的な製造のための資金確保の必要性のほか研究開発の強化などを考慮中である旨の説明が有りました。また、シリコンライブラリ株式会社の清水社長からは、HDTVと外部機器を接続するインターフェースであるHDMIをはじめ、新規格の高速SDカードインターフェースなどSoC(System on a Chip)における高速インターフェースIP(Intelectual property)に特色を有する同社が、今後はミリ波(60GHz)帯を用いた超高速ワイヤレス通信用LSI及びそのモジュール開発を進めていくとの説明が有りました。
- 2012.3.27
日産NPW間接部門業務改革セミナーに参加。
― 日産のNPW改善コンサルティング室が社内における取組事例を外部企業に対しオープンにしてコンサルも行うというセミナーです。大企業として社内において多様な取組みを行い、海外子会社にも展開している事例を幾つか紹介していました。最大の課題は、間接部門の生産物は「情報」と「サービス」であることを認識し、その業務の本来の必要性・必然性・発生理由を明確に意識するところにあり、その意識が明確であれば、現状をそのままフローチャート化していくなかで、自ずから不要な処理の廃止や合理化策が見えてくるというものでした。グローバル化していく中で同じ手法が海外でも通用するかどうか興味はありましたが、継続の中で解が出てくると思います。大組織での手法が中小企業にも通用するかどうかですが、この点は利用できる点が多々あると感じました。いずれにしても、本体の担当部門が外部組織にもコンサルを行うことは意義のあることだと思いました。
- 2012.3.15
シーメンス・新モデリング技術紹介セミナーに参加。
― 今回は、NX Synchoronous Technologyの説明とデモが中心でした。キャノンから、短期製品開発を目指し重複投資を避ける観点から2007年から全社的にNXへ統一し、大型の半導体製造装置から小型のカメラまで20万のポイントを扱えるNXのCADに統一したとの事例紹介がありました。更に、3次元CAD情報を活用しMixed Realityという仮想/現実の融合3次元空間においてアセンブリ/機器操作の検証等をバーチャルに行う手法等を説明していました。NX Synchoronous Technologyもレベルが高く、フロントローディングで多様な設計を行い、性能を検証し、組織間で情報を活用できる仕組みができあがる訳ですが、いつも思うのは、こういう高度な開発手法を中国・韓国の企業も利用しているので、我が国企業はプロセス・イノヴェーションでなくプロダクト・イノヴェーションで競争をするべきであり、幾ら高度なCADでも現場の生産プロセスを知らない設計者には実践的設計はできないので組織が大きくなっている我が国企業はその対策も必要であることなどを考えながら講演を聞いていました。
- 2012.3.14
課題解決型医療機器の開発・改良の連携支援事業成果報告会に参加。
― 平成22年度の補正予算による医療機器開発支援の成果発表会でした。映像利用手術技術ないし機器及びそのためのソフトウェアの開発を行うものが多く、取得細胞の解析や撮像情報による即時診断を行う情報処理もあり、全体に情報技術を活用した複合機器の開発が主流だと思いました。このような成果を対外的にオープンにして、開発者に緊張感を与え、導入利用者との距離を縮めようとするのが経産省の狙いだと思いますが、開発主体者からも審査委員からも市場は国内ではなく海外を狙いたいという発言が多く、これが現在の我が国の問題を良く表していると思います。予算を投入し、伴走コンサルタントを個別につけて開発目標と導入利用の可能性を明確にさせながら開発させる手法を取っていることは評価しますが、そこまでやらないといけない事情があるということと、折角の発表の場でありながら潜在ユーザとのマッチングの機能が弱いという問題もありました。
- 2012.3.1
第3回国際二次電池展に参加。
― 東北大震災以降の社会的要請も受けて更に開発の加速化が期待されている充放電可能の二次電池について、現時点での上市製品から材料、検査計測機器までの展示会でした。圧倒的な人出でしかも韓国・中国・欧米企業の出展も多く、関心の高さが伺えました。中でも目に止まったのは報道で伝えられている通りのBYD製品の完成度の高さでした。デザインも垢抜けており、日本製品の完成度の低さが残念ながら気になる状態でした。理由には様々な要因があるので、引き続き分析していきたいと考えます。材料も炭素粉体から電解物質まで多様なものが出展され理解不能に近かったですが、米国CABOT社のブースで、電池の最終性能は個々の要素材料の出来と加工プロセスの出来の掛け算で決まるものであり総合力での評価になるとの説明を受けたのが極めて印象的でした。そうであれば今までの我が国の製造業論では強みを発揮できるということとなりますが、BYDほか韓国企業の動きを見て果たしてそう言えるのか、課題を感じた展示会でした。
- 2012.2.23
アスプローバ社による製造業のグローバルシステム統合とSCMのセミナーに参加。
― 同社のセミナーシリーズで、今回は元SAP ジャパン社長/八剱企画代表八剱 洋一郎氏による「ERPの現状とその功罪」という特別講演と東洋ビジネスエンジニアリング株式会社清水秀樹氏による「Asprova-SAP接続キットの紹介」、同社高橋社長による「Asprova SCPを活用したグローバル全体最適」のプレゼンがありました。SAP等が開発するERPソフトは我が国以外の製造業や地方自治体等で導入されており我が国は先進国の中では特異なポジションであるが、世界的に大規模クラウドシステムが標準となってくるので我が国もERPを利用することによって、運用/維持のソフト/ハードのコストを大きく低減できるチャンスがあること、アスプローバ社のSCMソフトもERPと一体化して運用されていくべきものであること、これらによって国際競争力の向上を図るべきであることの説明がありました。