- 2013.11.12
第152回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 発表は3社で、最初にWINフロンティア?の板生氏から、東大発の小型センサやスマートホン等の先端デバイス技術使った小型心拍センサによる自律神経解析によるストレスチェックサービス"Lifescore"、タブレット端末と小型指尖脈波センサを使ったココロのバランスチェックシステム"Lifescore Quick"等のサービスについて説明がありました。2番目にはイベントレジスト?のヒラヤマ氏から、イベント告知・事前集金(決済)・参加者管理などを行うオンライン・イベント・プラットフォームの説明がありました。既に大規模な展示会で使われ、日本語、英語、インドネシア語、タイ語、中国語(繁体)の5カ国語に対応しているとのことでした。最後に?チャオの綿引氏から、業務(基幹)システムを対象に、オープンソースによる開発、マルチ言語対応でWEBと融合させるクラウドシステムのサービスを説明していました。今回の3社はいずれもIT活用事業で、MINERVAでは今まで少なかったのですが、現在のヴェンチャー企業の太宗がこの分野になってきていることの反映でもあろうかと思いました。
- 2013.11.5
第6回GPIC研究会に参加。
― 研究会のテーマであるGreen Power Innovative Communicationの一環として、風力発電の課題と太陽電池の持つ問題点についての講演がありました。九大の大屋教授から「風レンズ技術を用いた風力・水力の利用および浮き島洋上エネルギーファーム」とのタイトルで、風・水エネルギーを集中させ発電の効率を飛躍的に高めるタービン部分を取り巻く集風(水)用の輪を付加したレンズ風車・レンズ水車と名付けた新タイプの風車について、従来の風車の2から5倍の発電出力を有し、魚の養殖とも併用できる浮体プラットフォーム式の再生可能エネルギーファームの説明を聞きました。エネルギー利用の可能性は高まったものの、レンズや浮体用のFRP材料のコスト上昇等をどう低下させるか、課題は大きいとのことでした。また、産業技術総合研究所の伊東研究員から「エネルギー問題の複雑さ 〜太陽電池を中心として〜」のタイトルで、普及が急速に進んでいる太陽電池の製品としての安定性、持続的稼働と普及のためメンテのコスト等について説明し、開発普及から50年近く経過しているソーラーパネルが内在する製造過程の問題、経年によるトラブルの顕在化、そのための国際的な基準作りの重要性を強調していました。再生エネルギーの持つ課題の大きさを認識したうえで、コンセンサスに基づいた地産・地消的なシステムを作っていくことの重要さと、要素技術である蓄電池、制御技術等が同時並行的に開発されていく必要性を改めて感じました。
- 2013.11.1
組込み系ソフトウェア・ワークショップ2013に参加。
― 我が国の組込み系ソフトウェア開発が大規模化・複雑化・短納期化・多機種化のしていく中で国際競争力を維持するためには、アーキテクチャ設計の導入・強化とそれを担うアーキテクトが必要であるとの認識で開催されているJEITAのワークショップで、昨年も参加しました。今回は、アーキテクトをどのように発掘し育成していくのかに焦点を当てた議論を行いました。早稲田大学の岸 知二教授からは、単一の特定ソフト開発に止まらず、複数ソフトの開発と将来のソフトウェア・モジュールの再利用、メンテの容易さなど多角的・長期的視野に立って開発の本質を見抜いたうえで開発を主導していけるアーキテクトは、効率性や生産性の基準では測りきれない能力を要求されるものであり、一種の特異な才能と性格を要する人材であるので、これを受け入れて育成していくだけの組織の受容性と余力が必要であるが、我が国の同質性を優先する組織では難しいのではないかとの講演がありました。また、事例としては、富士通研究所の武 理一郎氏からは、組織横断的に副社長クラスがヘッドになって進めている選抜による育成活動の紹介があり、三菱電機メカトロニクスソフトウエアの岩橋 正実氏からは、モジュール・モデル化とその利用の面での人材の育成は進んでいるが、本質の抽象化と汎用化を図れる人材育成はこれからであるとの報告がありました。組織においては、短期間に業務をこなしていく人材が重宝がられる中で、これと逆行しかねないモノゴトの本質の抽象化に長けた人材を並行して育成していくことは、それ自体矛盾しており、これはソフトウェア開発の世界だけの課題ではないものの、今やソフトによって競争力が事実上決まってしまう中で、日本的なるものからの脱却を図れるのがどうか、限界を改めて感じてしまいました。富士通研究所のようにトップの意識・センスに掛かっていると言えます。
- 2013.10.24
第5回日本・インド有識者フォーラムに参加。
― 富士通総研が事務局となり日本・インドの関係の強化を進めている日印パートナーシップフォーラム主催のセミナーで、今回は、メディカル・ツーリズムの受入れ先、高度の画像診断のアウトソース先として存在感を高めているインドのヘルスケア産業についてプレゼンテーションがありました。駐日インド大使の挨拶に続き、ハーパール・シンFortis Healthcare名誉会長から、貧富の差が大きく医療を受けられない層が大きいインドにおいて中間層の成長と海外からのアウトソースの拡大を受けて、自立的に先進の医療サービスを供給している同社の革新的事業モデルの説明がありました。また布施セコム医療システム?社長からインド・バンガロールに合弁で設立したSAKRA World Hospitalについて、質、倫理性、効率性の同時実現を目標に、我が国の多くの医療機関との連携によって培ったノウハウを基礎にして医療サービスを提供している現状の説明がありました。また、経産省の森田ヘルスケア産業課長から、機器単体の単発的な輸出で無く、持続的で進出先に受け入れられる医療サービスをシステム的に提供する機関の支援の現状と、海外の底辺を含む膨大な医療ニーズに貢献できる我が国医療サービスの在り方について説明がありました。我が国の画像診断の規模は世界的に見て大きくなく国内で処理することに日本人が疑問を感じていない間に、米国・欧州も含む膨大な画像診断をインドにアウトソースすることが当たり前となって、高度で安価な処理が実現している訳です。英語をベースとした標準化と監査を厳格に行うことで海外へのアウトソースの質も維持されることとなり、こういう発想は、日本語・内製・垂直統合モデルを当たり前としてきた我が国には育たず、これが我が国の競争力・管理能力の喪失・欠如に繋がっていることを改めて認識しました。
- 2013.10.22
埼玉県環境ビジネスセミナーに参加。
― 埼玉県環境ビジネス実行委員会主催のセミナーで、早稲田大学理工学術院横島准教授による「蓄電池の現状と将来展望について」と、三菱電機系統電気システム製作所のマルタ課長と板屋氏による「スマートコミュニティが創造する社会」の講演がありました。前者は、再生エネルギーの導入を高めながら安定的な系統運用を行うとともに、地域における地産地消的なエネルギー利用コミュニティの構築を図っていくためには、発生発電量が天候等で大きく変動する再生エネルギーを一時的に保存し必要に応じ放出していくシステムが必要であり、その構成要素として不可欠であるリチウム電池等の現状と今後の開発見通し等について分かり易く解説していました。また、NEDO等の支援を得て本庄早稲田にある早稲田大学キャンパスを活用し実証を進める(仮称)早稲田エネルギーマネジメントシステム本庄研究センターの構想についての説明がありました。後者の2人からは、我が国の電力供給体制において現実に電力供給システムを開発してきた経験をもとにして、八戸市でのマイクログリッド実証プロジェクトや、同社の尼崎工場等でスマートメータの信頼性実証のデータ取得試験を進めてきている現状などを解説していました。実際の送配電網をモニターし、制御する技術において同社が長年の経験と実績を有することを強く感じました。現在まだ電力供給改革の法改正案作りの途上ですので、直ちにビジネスに繋がる環境は整っていませんが、県内の小川町から参加したNPOからは地元の構想に対する助言を求める発言もあり、興味深いセミナーでした。
- 2013.9.25
電気自動車開発技術展2013に参加。
― ビッグサイトにおけるスマートネットワーク等を含めた展示会でした。本庄早稲田国際リサーチパークが、次世代モビリティ・エリアマネジメント研究会とスマートタウンプロジェクトの参加企業の協力を得たブースを出展していました。単体の自動車とか住宅では示しえないコンセプトの展示は難しいことを改めて感じました。なお、講演会では、ホンダ技研の椛沢氏からFIT-EVの開発について、テュフズードジャパンの元栄氏からEV等の安全に関する規格・規制動向について、話を聞きました。特に後者からは、EVについてバッテリーも含めた規制体系は発展途上であることが説明されていましたが、今後拡大が見込まれる市場であり、多くの人が熱心にメモを取っていました。なお、同社はドイツの有力な相互認証機関ではありますが、同社のバッテリー破壊検査等の施設が韓国にはあるものの我が国には置かれていないことを聞き、改めて、我が国の秘密保持優先での組織内部垂直統合の体質を感じました。
- 2013.9.24
「アジア圏における安全・安心な資源循環システムの構築に向けた現状と展望」シンポに参加。
― 早稲田大学循環型環境経済共創システム研究所主催で、本庄早稲田国際リサーチパークとも関係する早稲田大学環境総合研究センターがアジア圏での広域連携による循環型環境経済社会システムの構築を目指して進めてきた、スマートコミュニティ、自動車・小型家電のリサイクル、溶融飛灰の広域資源化、国際資源循環、および静脈施設における安全・安心対応策等の研究の成果と研究の方向性について報告する場でした。本庄早稲田、釜石、杉並で取り組む地域のエネルギー・情報ネットワークの動き、自動車リサイクルにおけるグリーンポイントセンターの構築、使用済小型家電のリサイクルシステムの課題、廃粘土瓦くずのセメント原料化の実証試験等のリサイクル・リユースの動き、中国大連における資源循環とRDF製造の取組み及び古紙回収とRPF事業への取組みについて、それぞれ民間企業の参画者等から報告がありました。大学でありながら幅広い課題に実践的に取り組んでいる状況がよく分かりましたが、基本的にはシンポが対象とする再生エネルギー・省再生資源の有効化が市場メカニズムの中で図られるのかどうか、中国の例を含めて、改めて深刻に考えさせられました。
- 2013.9.19
第24回エンジニアリング・ブランド研究会に参加。
― 日本開発工学会の研究会の一つで、今回は、?クイントセンスの代表でテクノロジーブランディングを提唱している佐藤好彦氏から「産業資源におけるホスピタリティの可能性と限界」について 、日立の藤井享氏から「サービス・ドミナント・ロジックに基づくスマートシティ構想」についてのプレゼンがありました。前者は、無償性とボランティア的能動性を有するホスピタリティの概念をビジネスの革新に適用していくべきで、ハードウェア・ソフトウェアを包含する上位概念としてのセンスウェアを重視すべきとの話でした。
センスウェアの概念は面白いと思いますが、ホスピタリティとの関係が不明確で、可能性よりも限界を感じてしまった内容でした。後者は、コモディティ化とガラパゴス化を回避する概念として、財の購入後の使用による価値実現を中心に置いたサービス・ドミナント・ロジックを提唱し、持続的イノヴェーションが陥るパラドックスから自由になりサービス一体の破壊的イノヴェーションを実現できないものかとの課題提起でした。併せてその実例として日立が関わっている沖縄のEV導入事例と柏の葉キャンパスのスマートコミュニティを紹介していましたが、こちらの方は課題が多すぎ、モデルとしては適切かどうか、と感じました。
- 2013.9.17
「スタンフォードの25年 過去、現在、そして未来へ」講演会に参加。
― (社)電子情報技術産業協会インダストリ・システム部情報システム・ディスラプティブ技術調査委員会が招聘したスタンフォード大学SCPD(Stanford Center for Professional Development)Executive DirectorのPaul Marca氏よる講演会でした。スタンフォード大とシリコンヴァレーの現状を日本で直接聞ける良い機会でした。ディスラプティブとは破壊的な、混乱させるという意味で、非連続的な革新的技術が何を産み出すかを調査している委員会で有ろうと想像しますが、講演の内容は、米国主要大学で進んでいるオープンでオンラインの講義であるMOOCs(Massively Open and Online Courses) のスタンフォード大における取組みの現状と、大学の経営への影響、将来への取組みについてのものでした。まさに今の大学の姿を変えてしまいかねないディスラプティブな動きであり、高額な授業料を取って教育する大学システムのデモタイゼーション(無料化と大衆化)です。授業に参加できる学生等の裾野は広がり、問題意識ある社会人にも簡単な形で機会を与えることとなっているようです。既存の大学も受け身から、積極的な裾野の拡大とソリューションを提供する形での学生の取込みに経営を変えて行く方針であるとのことでした。インプリケーションは広く、日本の大学の現状の教育スタイルの影響、日本企業のキャッチアップ的持続的技術開発路線への維持への疑問等多々あると思いますが、最大の成果は、米国の大学が英語で積極的に授業内容をアジア・アフリカ・東欧等へ発信し、大学ネットワークを作って、一種の標準・プラットフォームを創ろうとしていることに思いが至ったことです。
- 2013.9.11
“「日本経済」はどこへ行くのか”記念講演会に参加。
“「日本経済」はどこへ行くのか”記念講演会に参加。
― 世界貿易センター東京主催の小島 明氏出版記念講演会を聞きました。日経新聞の元論説主幹で著作・論文の多い小島氏で明確な論旨にいつも敬意を表しています。講演の内容は今が我が国にとって経済・社会の復活の最後のチャンスであり、構造改革と財政再建を進め、決してナショナリズムに走ることなく、歴代政権が先に送ってきた課題解決を政治が果断に進めるべきというもので、日頃の氏の主張通りのものでした。ただ、長き失われた日本を生みだした要因として、?まずパラダイム的要因であるIT化の浸透に極端に遅れた産業構造・産業組織の変革とIT導入の過程で生じるコスト低減効果、?ここ10数年日本の企業活動を支配してきた米国モデルのうち短期配当思考の強い外資系証券会社の影響力、?マネタリーポリシー特に日銀の役割、?製造業・モノつくりへの過度の思入れと摺り合わせ神話の支配力、?変動が大きくビジネスモデルの永続性が乏しい医療福祉を含むサービス業を主力産業にしていくための非終身の的確な雇用システムの未確立、?ユトリ教育が若い世代のみならず社会システム全体に及ぼした内向き志向、?エンターテインメント産業化し乱立する大学における人材育成、?安全安心に絶対価値を置き、現実のリスクや安全保障に目を瞑ってしまう国民やメディアの思考、等にも触れ考えを示して貰えればと思いました。著書には触れているのかも知れません。そして最後に、60歳以上の国民はすべからくサポート側に回り、50歳代以下が責任を取り運営するフットワークの良い身軽な経済・社会の再生について是非提言をして貰いたいと思いました。それにしても同氏の講演資料の中のIGPI作成「機械工業系上場企業で売上高利益率の高い会社22社」のリストは、殆ど問題セクターと言われている電子電機分野の部品・材料等の会社であり、自動車部品分野からは一つも選ばれていないことは何を意味するのか、これだけでも十分に現在の我が国産業の課題を浮かび上がらせているものであり、同氏の意見を聞きたいとと感じました。
- 2013.9.10
第150回MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 横浜で開催されてきました発表会も150回になりました。事務局等に敬意を表します。最初は、株式会社ナスカの宇野氏から、「現場の見える化」、「技能伝承」、「現場改善」に焦点を当てた製造現場向けの支援システムDPA Naviについての説明が有りました。ユーザが撮影した映像を自分で簡単に編集でき、研修やQC活動に活用できるソフトで、工場等の現場での活用の可能性は高く、また、言語を日本語以外にすることで海外での生産にも応用できるものです。更に、サービス業、医療介護の現場でも利用でき、面白いソフトでした。二番目はイーメックス株式会社瀬和氏から、同社が高分子アクチュエータの材料として開発してきたアニリン系材料を導電性高分子(ポリアニリン)として電池の正極に使うキャパシタ電池の説明でした。安いアニリンを使い、3分急速充電、大電流放電、1万回放充電、リチウムイオン電池(LIB)の半分程度のエネルギー密度という可能性の高い製品でした。最後に株式会社CICS今堀氏から、人体に無害な中性子をがんに照射し無害なターゲット物質(ホウ素化合物)と核反応をおこさせて、がん細胞を死滅させる中性子補足療法を、国立がん研究センターや大手メーカーと共同で開発・確立しようとしている現状について説明がありました。久しぶりに内容のあるプレゼンが3つ揃っていました。
- 2013.9.9
第1回GPICシンポジウムに参加。
― 技術で勝ってビジネスでも勝つことを、パワー半導体の世界で実現することを目標とするGPIC研究会主催のシンポで、Clean tech「水素・燃料電池」とGreen tech「パワーデバイス」が秘めるビジネスの魅力をアピールする観点から、最初にIHSグローバル株式会社Electronics&Media 日本オフィス代表南川氏から、新興国の経済発展により急増する電力需要に対応するためにはインバーター等の普及を進めることが喫緊の課題であり我が国がビジネスチャンスを活かす必要があることをプレゼンしました。次に燃料電池開発情報センター常任理事吉武氏から2015年に予定されているFCV(燃料電池自動車)の一般販売開始と100ヶ所の水素ステーションの整備の計画について説明がありました。その後、合同会社中川コンサルティング事務所元(株)東芝セミコンダクター社首席技監中川氏から日本で誕生し今後の普及に向けて大きな市場を見込めるIGBT開発の経緯と今後の展開について説明がありました。最後に、講演者等によるパネル討論がありましたが、講演者の一人から技術的な観点からの説明と議論をしていても仕方が無く、研究会も発想を変えるべきではないかとの厳しい指摘があり、一挙にシンポジウムは盛り上がりました。営業・マーケティンング畑出身者が、技術では優位でもビジネスに成し得なかった事例をプレゼンする必要があると思います。経営トップが参加していない場でどのぐらい意味があるか不明ですが、やってみる価値はありそうです。
- 2013.9.5
慶応大学環境都市デザイン国際シンポジウムに参加。
― 慶応大大学院システムデザイン・マネジメント研究科がフィンランドAIDA(Adaptive Innovative Development Process for Sustainable Area)プロジェクトとの共催で開催したシンポジウムに参加しました。サステナブルな都市作りをどうデザイン(狭義の都市計画だけでなく、高齢化した市民がどう生活できるか等ソフトな広範な街つくり)していくかの問題意識でした。横浜市の温暖化対策統括本部・環境未来都市推進担当理事 信時氏は、同市の環境未来都市構想として、単に二酸化炭素排出対策だけでなく、全市で進む高齢化や都市インフラの老朽化への対応も含め負荷の少ない街つくりを進めている現状を説明していました。環境未来都市にはスマートグリッドだけでなく広範な問題意識が背景にあり、都市の規模はことなるものの本庄早稲田国際リサーチパークで考えている地域の顔作り、移動手段、住宅省エネ等の面での取組みなど、共通の課題認識があることを確認しました。フィンランドAalto University Seppo Junnila教授からは、都市中心部、郊外、田園地帯における住民の生活スタイルと二酸化炭素排出量との関係を調査した結果、人口密度と一人当たり排出量とには大きな差が無いとの面白い説明が有りました。そうなると、本庄市等人的にも財政的にも制約の多い中小都市における環境対策は、大都市と同じように進めて行かなければならない一方で、その制約ゆえに大都市の様には進められない現実をどう打破していけばよいのか、改めて深刻な課題を痛感しました。
- 2013.9.3
JST理化学研究所新技術説明会に参加。
― 久しぶりの新技術説明会で今回は理化学研究所の発表でした。ライフサイエンス技術基盤研究センター片岡氏から、横軸・縦軸の二次元空間タッチパネル入力システムにより主観的な気分や心地をデータ化する「KOKOROスケール」について、生命システム研究センターユニット田中氏から、超微細流路を有するガラス基板「マイクロチップ」の試料操作のために内蔵したガラス製バルブの開発について、平山量子光素子研究室平山氏から、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体の新規結晶成長法とLED構造の革新によって大幅な効率向上を可能にしつつある「深紫外LED」の開発について、創発物性科学研究センターグループ・ディレクター永長氏から、磁性体中に現れ、ナノスケール、安定、超低電流駆動の特性を有する渦状スピン構造のスキルミオンを磁気メモリーに応用する可能性について、それぞれプレゼンを聞きました。理研の研究レベルの高さ、研究環境の良さを感じましたが、革新的であるものの極めて基礎レベルに近い案件も含まれており、このような分野の産学連携とは何なのかを改めて考えさせてくれました。
- 2013.9.3
JST理化学研究所新技術説明会に参加。
― 久しぶりの新技術説明会で今回は理化学研究所の発表でした。ライフサイエンス技術基盤研究センター片岡氏から、横軸・縦軸の二次元空間タッチパネル入力システムにより主観的な気分や心地をデータ化する「KOKOROスケール」について、生命システム研究センターユニット田中氏から、超微細流路を有するガラス基板「マイクロチップ」の試料操作のために内蔵したガラス製バルブの開発について、平山量子光素子研究室平山氏から、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体の新規結晶成長法とLED構造の革新によって大幅な効率向上を可能にしつつある「深紫外LED」の開発について、創発物性科学研究センターグループ・ディレクター永長氏から、磁性体中に現れ、ナノスケール、安定、超低電流駆動の特性を有する渦状スピン構造のスキルミオンを磁気メモリーに応用する可能性について、それぞれプレゼンを聞きました。理研の研究レベルの高さ、研究環境の良さを感じましたが、革新的であるものの極めて基礎レベルに近い案件も含まれており、このような分野の産学連携とは何なのかを改めて考えさせてくれました。
- 2013.6.18
次世代モビリティ・エリアマネジメント研究会総会に参加。
― 本庄早稲田におけるEV等の次世代の自動車の要素技術と再生エネルギーを活用するプロジェクトの研究開発、その実証等を行う研究会の総会で、発足から4年を経過し、中小企業の加工技術等の向上に実践的に取り組むとともに、他地域の類似機関との連携でのビジネスチャンスの創出を実現し、本庄早稲田駅周辺での商業施設をコアとした再生エネルギー活用プロジェクトも立ち上げ、一定の成果を上げてきたと言えます。2008年から関与してきた立場からは、ホッとする面とまだまだ課題が山積している面の両方を感じます。研究会の会員は幸いなことに減っていませんが、大学の教官が調整役となって複数の企業が参加する産学官連携のプロジェクトの具体化は、教官の得意分野とリーダー性、参加企業の相互理解と補完性、共通の高い目標の設定等相当の好条件が揃わないと難しく、まだまだ試行が必要な状態です。また、変革への意識の高い個別企業の支援も進めてきていますが、その効果はまだ国内の市場に留まっており、グローバルな視点での発展をどう支援していくかも課題として大きなものです。なお、総会に併せて、日産自動車の柳下氏から「日産ニューモビリティコンセプト‐行動実証実験でわかってきた超小型モビリティの可能性と課題」のタイトルで、(NPO)VCI人材戦略研究所代表の阿部氏から「ものづくり企業におけるグローバル人材の活用‐ベトナム人理工系・文系学生の採用事例」のタイトルでの講演がありました。前者は今後普及が見込まれるものの更に実績を積み重ねる必要のあること、後者はアジア展開を考える企業にとってベトナム人初め東南アジアの人材の採用が必須であることを述べていました。
- 2013.6.14
大田区加工技術展示商談会特別講演会に参加。
― 大田区産業振興協会が主催した展示会で、?マテリアルの細貝社長が「下町ボブスレープロジェクトに見るネットワークと協業戦略」とのタイトルでプレゼンをしていました。同社自体はアルミ材料販売・マシニング加工の会社ですが、同社長は大田における精密加工等の企業のネットワークを活用し、得意分野の異なる複数の企業が参加してアルミニウムからなる躯体とFRPによるカバーを有する橇の製造する取組みの中心を果たしています。主に二代目以降のオーナー達が参加し、数の面ではピークに比べて半分にまで減ってしまったとはいえ同地域における中小企業群の技術力の高さを宣伝し、複数企業が協業することで新しい領域に挑戦できることを実証しようとするプロジェクトです。市場がグローバル化して国内だけでの営業活動では済まなくなってきている中で、オリンピックという国際的な場を活用して「オオタ」の情報発信を具体的なモノで眼に見える形で進めていこうとしている点は、本庄早稲田も含めての地域の特色作りと売込みにとって示唆に富むものでした。
- 2013.6.11
本庄スマートエネルギータウンプロジェクト平成25年度総会に参加。
― アドバイザーをしています(公益財団法人)本庄国際リサーチパークが進めています慈上越新幹線の本庄早稲田駅周辺エリアにおけるエネルギーの有効利用と先進技術の実証を追求しようとするプロジェクトの総会でした。2011年度から本格的に立ち上げ、3か年で進めるプロジェクトの最終年度に当たります。参加企業は約45社で推移し幸いにも関心を示して貰ってますが、個別には、複数個別住宅に共通の自然環境を活かしつつエネルギー管理の仕組みを導入しようとするモデルや、大手商業施設の立地に伴う地域のエネルギー管理や交通システムの構築など意欲的な取組みはさほど前進しておらず、3年の最終局面での成果には限界があると思われるものの、この間財団に蓄積されたノウハウも相当のレベルに達しており、これらを本庄にて次に活かすことと他の中小都市においても役に立てていける仕組みの構築を考えて行く必要があると思われました。
- 2013.6.10
日本企業の新アジア戦略―市場開拓への挑戦―に参加。
― アジア市場のチャンスとリスクを見据えて、アジア市場における生産拠点、市場開拓の戦術のみならず、グローバル戦略の中でのアジア戦略をどう構築するか、という高度で多面的な視点から、富士通総研の中国・ドイツ出身の研究員の報告だけでなく、タイ出身の宇部興産常務・アジア統括部長、フランス出身の日産経営企画本部長の報告を含む非常にエキサイティングなシンポジウムでした。報告者にこのような多様な人材を集められる富士通総研の見識とともに会場がほぼ満席での参加者の関心の高さを示したモノでした。
今後、我が国企業における経営陣のグローバル化は自明のことであり、この2社が非常に意味のある先進事例となるとともに、東芝の営業企画室長からも本格的な国際的人材の採用と登用を進めている報告があり、いよいよ産業界も動き出していることを感じさせるものでした。リスクは当然に「在る」ものでありこれを前提にマネジメントしつつ、国籍を問わず優秀な幹部を採用して任せながら、企業全体としてガバナンスを強化する、言うは易く行うは難しを実行していくしか我が国の産業の生き延びる道は無いことを改めて認識しました。
- 2013.6.5
3D EXPERIENCE Customer Forumに参加。
― CAD等のダッソーによる3次元画像システムによる設計、工程管理等の応用とダッソーの最新製品の紹介のフォーラムで、既に何回か参加しています。今回、本社からのプレゼンが昨年とほぼ同じであり、我が国の多くのパートナー企業の説明が同工異曲であることなどから、少し前までは製造現場の効率を上げるために目新しかったツールが機能的に飽和状態となり、大方の製造現場には行きわたってしまったのではないかとの印象を受けました。これは同時に同種のツールが中国、韓国等の企業にも行きわたったことを意味しており、今後はどう使いこなすか、その能力の競争が、グローバルな産業競争力を決定して行くであろうとの予感を持ったということです。取り敢えずこれらツールを使うことで我が国メーカーも設計等は行えますが、革新的なコンセプトの商品作りの能力とこれらグローバルに普及したツールの先を行くものを自前で開発することなしには、結局人件費も安く市場に近い中国企業による同程度のツールを使った生産には打ち勝てないことを意味します。商品のコモディティ化の背景にある問題であり、単にモジュール型の製品の問題だけではなく、ダッソー等の海外のツールに依存している我が国自動車メーカのインテグラルなアーキテクチャ製品においても事情はまったく同じだと思われます。
- 2013.6.4
政策フォーラム「資源エネルギー政策と課題」に参加。
― 一橋大学と経済産業研究所の共催で、現下の重要課題であるエネルギー政策について識者が一定の方向性を見い出すべく議論を行う講演とパネルの場でした。非資源国として我が国のエネルギーコストが安く推移するものではないことを前提に、直近の課題としては中東、特にイラン問題から波及する石油の高騰に対する備えをどうするか、中長期的には我が国の輸入するLNGの価格が高く推移している中で、エネルギー効率も良く価格も安い石炭火力を再度見直し、更には3・11以降停止している原子力発電所の安全審査を終えたものを復帰させ、ベストミックスを再度構成し直すべきだとの結論であったと思います。あれも嫌いこれも嫌いでコストだけ安くと言うことが許されない我が国として、ベストミックスを追求するとともに、地産地消に最も近い自然再生エネルギーを実質的に更に活用し、需要者の選択肢を増加させる基盤としての電力供給システムの抜本的な改革を早急に行うことが重要であることを再認識させてくれました。
- 2013.6.4
Smart Korea Forum in Japan/韓国IT Expo 2013に参加。
― 昨年に引き続き、韓国の科学・情報通信・未来計画省とKOTRAが主催するセミナー、やはり昨年と同じKDDI総研の趙章恩特別研究員の「韓国新政府のICT政策と韓国企業のスマート戦略」と題する講演を聞きました。この分野の概況は非常に元気なサムソンやLGの活動を見ていれば想像がつきますが、既に韓国では民間も含めて、我が国が現在遭遇している電子機器のコモディティ化を前提に、クリエイティブな能力構築を重要課題として人材育成を進めるとともに、医療分野等におけるIT利用した治療の仕組みを病院の形でODAにより海外に移転させるなど、先を読んだ対策を取ろうとしていることが印象的でした。また、IT分野で必要なプラットフォーム戦略として韓国発の第3のOSの開発を進めており、そのためにサムソンは米国にソフトウェアセンターを立ち上げたなど刺激的な内容もありました。韓国の携帯電話市場は欧米と同じくキャリア主導ではなくメーカー主導であるとのことで、この消費者に直結している市場が企業の競争力を生み出していることも納得できました。
- 2013.5.31
東京大学駒場リサーチキャンパス公開2013に参加。
― 東大の先端技術研究所に行ってきました。施設と研究用機器の充実では他大学を圧倒しているのが第一印象でした。事前に十分、関心分野を調査していけば講演会も含めて充実した情報収集と先端分野の現状把握が可能になると思われます。今回は、電通大のインキュベータに入居後、生産技術研究所の金研究室と共同で既存技術の高度化を図るために転出した?アプライド・マイクロシステムの加藤社長から展示の案内を貰いましたので、久しぶりに会って最近の話を聞いてきました。タッチパネルの欠陥修復など応用分野もすこしずつ広がっており、金研究室との共同研究の成果も出てきているとの話で安心しました。
- 2013.5.29
スマートコミュニティJapan2013に参加。
― 東京ビッグサイトで開かれた展示会で、規模は大きくないですが、新エネルギーの活用に対する関心の高さから、大手メーカーから大学まで、多様な出展者が揃っていました。海外も欧米から中・韓までの企業が出展し、日本の市場に対する関心を示していました。残念ながら、「コミュニティ」の具体化は電力システムの本格的な改革がされていないためにまだまだ相当先になり、理念的な展示が多く、植物工場やバイオマス発電など比較的独立して運用できる機器装置の展示が多い印象でした。関心の高さや供給側の意欲の強さと現実との差を改めて感じさせられる展示会でした。支援を行っているベンチャー企業との関連で、眼はバイオマス発電の出展企業に行き、技術としてはある程度完成し競争が厳しいと思われる一方で、事業としてはいずれも苦労している印象を受けました。
- 2013.5.24
XVL3次元ものづくり支援セミナー2013に参加。
― ラティス・テクノロジー株式会社主催の「日本で創り、世界で造る~グローバル製造業に貢献するXVL~」と題するセミナーで、本年2月のスユアe-パブリシング研究会オープンフォーラムで鳥谷社長の講演を聞いたことに引き続いてですが、今回は同社パートナー企業やユーザ企業からのプレゼンを含めた総合的な製品紹介の場でした。参加者も多く、国産のソフト会社としての実力を改めて感じとれる機会でした。いよいよCAD等が日本の大手から中小までの製造企業にとって当たり前に使いこなすべきツールとなり、更にグローバルに複数の拠点で製造を行う企業に取って同社のXVLが工程管理のみならずコミュニケーションのツールとして必要不可欠なものとなっていることを具体的に感じ取りました。他方で、当日多数参加していた本当に若い機械系技術者が、相変わらず、既存コンセプトの製品作りの高度化、高性能化、多機能化の方向でこのようなツールを使うことにより、我が国製造業の器用貧乏の現状から抜け出せないリスクも感じました。プレゼンの中でトヨタの利用事例紹介がありましたが、今や同社が半分は情報系の企業であり、XVLを含めてこのようなツールなしでは活動できないことをまざまざと感じさせるものでした。
- 2013.5.21
第6期IIP知財塾成果報告会に参加。
― IIP(知的財産研究所)が主催し、知的財産制度の在り方を大所高所から提言できる人材の育成を目指した知財塾の報告会で、今回は、「特許侵害訴訟における営業秘密の開示と保護」、「新興国進出時の知財リスク及び対応策の研究」、「製造サプライチェーンにおける供給者の技術基盤の保全について―技術のコモディティ化の中で生き残るために―」、「知財リスクの予見性向上を軸とした特許制度改善の提案」の4つのテーマで若手がプレゼンしていました。特に3番目のテーマは、我が国の製造業が対新興国との関係で直面している課題にどう応えていくのか、期待の大きいテーマでしたが、残念なことに、技術のコモディティ化と商品のコモディティ化を混同した向きがあって、中途半端な内容で終わってました。商品のコモディティ化は、新興国でそこそこの性能の商品がそこそこの値段で大量に生産される結果生じ、その最大の要因が、最先端ではないハードの技術であってもソフトウェアでカバーして生産するEMSの存在にある訳で、この視点を欠落したまま特許だけの世界で対処しようとする報告で、参加者からも疑問が示されていました。報告で一部触れていたプラットフォー ム戦略に焦点を絞り、深掘りしていれば良かったと思われました。我が国の大企業組織が細分化された専門的な人材から構成されていることを象徴しているような印象を受けましたが、これを打破しようとするIIPの奮闘を引き続き期待します。
- 2013.5.14
MINERVAビジネスプラン発表会に参加。
― 1年ぶりのビジネスプラン発表会でした。今回は、フレキシブルプリント基板(FPC)の開発・製造・販売の?丸和製作所、マグネシウムダイカスト製品の製造と販売の?三輝ブラスト、東南アジア向けに小型電動自動車(EV)の製造販売を計画する?FOMMの3社から発表がありました。丸和製作所は電子機器の部品用の微細加工FPCに特異性があり今後台湾のUNIMICRONとの協業によりグローバル展開を目指しそのための資金獲得を考慮してのプレゼンでした。三輝ブラストはマグネシウム加工部品では優れた技術を有し電気・自動車メーカに納入の実績もある企業で、資金・人材を求めてのプレゼンでした。FOMMは今後東南アジアにおいて4人乗りで荷物も積めるEVを、購買層の能力を考えて低価格に押さえながら開発製造販売するとの意欲的なプレゼンでした。前2社は、既に特異な技術力でビジネスを展開している実績がありますが、ミネルバからの出資も得ており、銀行以外の資金受入れに抵抗のない我が国では珍しい企業でした。特に、三輝ブラストはオーナー会社であり経営目標も明確で行動力もある印象を受けましたので、VCの投資先としては相応しいと思いました。
- 2013.4.18
日本自動車部品工業会特別セミナーに参加。
― 同工業会がインターモールド2013、金型展、金属プレス加工技術展に協賛しビッグサイトで開催し、同工業会の技術顧問であり元?本田技研副社長、元?ショーワ代表取締役社長の松島正秀氏が「自動車部品企業の海外展開、これからの課題と対応」とのテーマで講演を行いました。我が国の電子電機メーカーが陥ったガラパゴス化や高性能・高品質・高機能の追求による国際競争力の喪失をいち早く学習し、大手アッセンブル・メーカーは大きく舵を切って主たる市場を海外、特にアジア等の新興国に焦点を当て、世界同時複数拠点での開発生産を進め、ファースト・ティエの大手部品メーカーは独自に海外企業向けのビジネスの拡大を進めているなか、セカンド・ティエ以下の部品メーカーは、縮小する国内市場での競争と、海外から輸入される部品との競争、海外における現地民族系の部品メーカーとの競争など極めて厳しい状況にあることを具体的に紹介していました。厳しい環境ではあるものの世界的には自動車のニーズはまだ拡大しているなか、早急に人材育成を行うとともに、現地民族系企業とのライセンスやジョイントベンチャー等のアライアンスを構築してチャンスを掘り起こしていくことを提唱していました。グローバル化の論理的な帰結であり、抗しえない流れとして、自動車部品工業だけでなく我が国の各業種の中小企業が積極的に対応していくことを願う内容でした。
- 2013.3.22
第11回ビジネス・イノベーション研究会に参加。
― 日本開発工学会の研究会で、最初は、名古屋商科大学大学院の北原教授から「イノベーションと創造性の認知的アプローチ」とのタイトルで、イノベーションを生み出す要素の一つである創造性は人間の最も高次の認知機能であること、創造性を生み出すモデルとして課題設定と開発先行前の解決に向けての想像、結果探索に向けてのより深い思考のサイクルを回すFinkeによる創造的認知モデルがあること、そのような実例として多様な異なる分野の専門家を集めて進める米国IDEO社の企画・開発のプロセスを紹介して、組織内のイノベーション創発の加速ができないかとの問題提起をしていました。異質で多様な集団が刺激し合ってサイクルを回すところが重要で、我が国の大企業のような思考の均一性が効率性を齎すと考えがちな組織内では、構成員の異質性という前提から置き換えていく必要があると考えます。二つ目は、法政大学経済学部永岡ゼミの学生達がYouTubeでの動画再生回数とオリコン等の楽曲ランキングの推移を統計学的に考察し「著作権を無視した違法コピー」はCD等売上げを減少させてはおらず売上げにプラスの影響を与えているとの報告をしておりました。一般的な常識にとらわれず数字に語らせることは、Finkeの創造的認知モデルのサイクルを回したことになると思います。著作権の持つ問題点も浮かび上がらせる内容でした。
- 2013.3.22
JST第2回ベンチャーミーティング楽市楽座に参加。
― JSTのA-STEP制度等利用した大学発ベンチャーのマッチング等を目的としたプレゼン等の場で、埼玉県やさいたま市との連携で潜在ユーザとなる企業などに声を掛けての集まりでした。4社のプレゼンと2社のパネル説明でしたが、その中では、東工大のインキュベータに入居しTEPの村井代表が応援しているBi2-Vision株式会社が「人間の眼を模擬・模倣し最終的に超える 〜3D映像撮影システム〜」とのタイトルで現時点での開発成果と販売戦略を説明していました。「低消費電力でクリアなサウンドを 〜フルデジタルスピーカ「Dnote」〜」とのタイトルでプレゼンした株式会社Trigence Semiconductorの岡村氏は製品の説明に合わせて、初期開発と製品化・販促の谷間にあるベンチャーの構造問題である製品化開発資金の不足、支援を行えるベンチャー経験者の欠如、販促へのサポート不足などを訴えていました。全く同感ですが、この構造問題は言われてから久しく、本当に解決が難しいものです。最後に、最小・最薄・最軽量の3軸触覚センサーである「ショッカクキューブ」「ショッカクチップ」の展示説明を聞き興味を覚えました。ロボットでの幅広い利用ができると思います。
- 2013.3.15
中国統括会社の機能強化と再編セミナーに参加。
― あずさ監査法人とKPMGジャパングループの主催による、流動的な制度と日透明な運用が多い中国において、今後の中国市場の動向を睨んで、どのような統括的機能を中国子会社に持たせるのが良いかとの実務的視点でのセミナーでした。広大な中国において税務当局の対応が地域でばらつきのある実情から、必ずしも大きな構えの投資性公司である統括会社ではなく、弾力的にオペレーションができ実質的に統括機能を持たせられうる管理性公司のメリットを浮かび上がらせる内容でした。かって中国で同様の機能を有する会社を設立した経験に照らし合わせて、その後の制度の変更や現在の当局の運用について興味深く聞くことができました。
- 2013.3.8
知的財産研究所平成24年度特別研究員研究成果報告会に参加。
― 知的財産研究所が特許庁から委託を受けて行っている、我が国の知的財産法制度の設計・運用の改善に向けた議論や国際的な制度調和に向けた議論に関する成果発表会で、本年は、佐藤育己特別研究員による「知的財産担保の準拠法に関する調査・研究」と露木美幸特別研究員による「多様化する間接侵害に対応する解決法理の構築に向けた一考察」の二つの発表を聞きました。いずれも企業の活動が国境を越え、活動も単純・単一の業態でなくなってきている現在において、被害が生じた際の準拠法をどこに求め、実定法が定める侵害の態様以外の侵害にどう対応するか、という非常に先鋭的な問題意識に立った発表でした。実定法のみを前提として対応するという産業界、行政の限界にも疑問を投げかける内容でしたが、残念ながら参加者は極めて少なく、我が国産業界が現状維持のトラップに嵌っているのではないかと心配されるような状況でした。
- 2013.3.5
JST第3回農業・食品産業技術総合研究機構の新技術説明会に参加。
― TPPへの参加の是非の議論の中心は農業ですが、それを支える食と農の新技術について関心があり、初めて同機構の説明会に出席しました。農業が決して米作りが中心で無く、外食加工用の素材や機能性食材の開発、果樹・野菜・米などの病気の早期予防の技術開発、今後農業を支える人材が高齢化する中で若手が従事できシステマティックな育成を可能にするIT活用技術、大震災地域でも栽培可能な室内自動栽培システムなど、予想を超えた先を見た取り組みがあることを実感しました。人口がまだまだ1億を超え、外食を含めて食へのニーズは相当のレベルで継続することを考えると、単に今の田圃で老人が行う米作りを我が国の農業の先の姿と見ることの問題点が浮かび上がります。多くの可能性を秘めながらも課題を抱えているのは製造業の裾野を支える中堅中小企業と同様であり、農業だけを特別視するのでなく、地域の雇用を産み出す、新エネルギーを活用するシステム化を併せて進める等、産業横断的な発想で取り組むべきことを改めて感じました。
- 2013.2.27
第4回国際二次電池展―バッテリージャパン2013―に参加。
― 久しぶりに東京ビッグサイトを訪問し1年ぶりの二次電池展を見ました。総じて言えば昨年よりも発電から蓄電、蓄えた電気の利用に至る一体システムが昨年よりも増え、一段と実用化に近づいた印象を持ちました。我が国の電力システムの大変革が数年内に実現することもはっきりしてきたので、後2年内に相当具体的な大型の電池システムが登場すると予感します。材料、材料加工、製造、検査、システムまでの広範な企業が集まり、また、アジアや欧米の企業も出展していることを見ると、我が国がこの分野で国際的な競争の中心にあるような錯覚も感じましたが、そうであって欲しいと願います。昨年との違いで言えば、色々取り沙汰されているBYDが昨年の垢抜けてかつ訴求力のある消費者向け的展示から一転して地味な産業機械的な展示に変わり、また、EV関連の電池メーカーの出展が見当たらないことでした。昨年興味を持ったNEXCONや我が国のエリーパワーは電池システムを積極的に展示していました。また、シリコンヴァレーのインターネットで有名なゼロックスの研究所であるPARC(Palo Alto Research Center)も出展しており、同センターが親会社から自活を求められている立場と電池関連技術にも及ぶ広範な技術力の高さを感じさせられました。
- 2013.2.6
スユアe-パブリシング研究会オープンフォーラムに参加。
― 毎年恒例のスユヤe‐パブリシング研究会オープンフォーラムに参加しました。今回は、「書店運営側から見た電子書籍・電子書店の現在と近未来」と題して紀伊國屋書店の牛口順二氏から同社電子書籍事業の立上げ・運営に関わる課題のプレゼン、「デジタル(3D)ドキュメントと製造業の現状」と題してラティス・テクノロジー?の鳥谷浩志氏から軽量で扱いやすいCAD技術の内容と海外工場での導入状況についてのプレゼン、「XMLによる革新的 『文書進化論』」と題して?デジタルコミュニケーションズの福重青史氏から組織横断的な一元的文書管理と循環再利用の可能性についてのプレゼンが有りました。それぞれ面白い内容ですが、全体のテーマとしては日本産業・文化の進化の可能性あるいは停滞の可能性というべきものであって、ここ10数年のディジタル化の進展と新興国の台頭の中で、日本の製造業から文化領域まで、これら世界の流れに乗って飛躍ないし延命ができるか、抗したまま自滅していくのか、3者の話は違う側面ではありますが、同じテーマを語られたと感じました。端的に表現すれば、機械至上主義でコミュニケーション能力や文化的表現能 力を置き去りにしてきた我が国の産業・企業が他文化と相互に交流できる可能性を、この3者の技術が高めてくれるというところにあると考えます。鳥谷さんの仕事はコミュニケーション能力に乏しい企業がグローバル化していくうえでの不可欠のツールを提供していると考えます。福重さんの仕事は、社内の壁がそのまま情報の壁となっている企業の内部に大変革をもたらす可能を有していると思います。牛口さんの仕事は、日本の文化をクラウドで海外に販売できる可能性を有していると思います。いずれにしても3方のプレゼンは、日本人が次の10年を乗り越えていける可能性を示唆した内容であったと感じました。